様々な作り手と共にイベントや展示を企画し、情報を発信しつづける新しい形の本屋さんが、松江にある。artos Book Storeだ。
もともと、どこの街にでもある普通の本屋さんだった西村書店を、先代から引き継いだ現オーナーがリニューアルし、新たなスタイルの本屋として約9年前にオープンした。
様々な雑誌や専門誌で取り上げらており、業界の中では有名な本屋さんだ。オーナーの西村さんは、東京などで本や本屋さんについて講演などもこなされる素敵な方。
西村さんが「衣食住」をテーマにしてセレクトした本は、どれも生活を豊かにしてくれる、lifestyleを提案してくれるようなものばかり。
商業的におしつけがましくなく、西村さんのセンスが光るやさしい空間の店内で、ゆっくり本を選ぶ。他の本屋では味わえない、なんとも言えない幸福感がある。
最近ではあまり見かけなくなった、お店の人とお客さんとのコミュニケーションが自然に生まれる本屋さんでもある。
そういった意味で新しくもあり、昔の良い部分も継承した、進化する本屋さんだ。
この日は、第一線で活躍されているイラストレーター2名と、絵本作家1名の三人展というトークイベントが行われていた。
福田利之さん
主な著書に山下哲との共著、「ぼくはうさぎ」(あかね書房)、 藤本智士との共著、「baby book」(コクヨS＆T)、 「福田のフォト絵」(ヴィレッジブックス)など。 オリジナルテキスタイルブランド「十布」も手掛ける。http://to-fukuda.com/
平澤まりこさん
東京生まれ。イラストレーター。広告、雑誌、装画などを手がける他、国内外問わず気になる人や街を訪ね、絵と文章を用いて本を制作している。著書に『イタリアでのこと～旅で出会ったマンマとヴィーノとパッシオーネ』（集英社）、『１カ月のパリジェンヌ』（主婦と生活社）、『ギャラリーへ行く日』（ピエブックス）、絵本『森へいく』（集英社）など。10/19まで開催中の山形ビエンナーレに参加。
http://www.hirasawamariko.com/
tupera tupera (ツペラ ツペラ / 亀山達矢さん)
亀山達矢と中川敦子によるユニット。絵本やイラストをはじめ、工作、ワークショップ、舞台美術、アニメーション、雑貨など、様々な分野で幅広く活動している。
NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクションも担当。著書に、「木がずらり」（ブロンズ新社）「パンダ銭湯」（絵本館）など多数。
絵本「しろくまのパンツ」で第18回日本絵本賞読者賞、Prix Du Livre Jeunesse Marseille 2014 （マルセイユ 子どもの本大賞 2014 ）グランプリを受賞
http://www.tupera-tupera.com/
日本を代表するようなこの3人が、わざわざ松江に来てくれるのも、やはり西村さんの人望。3人とも、artos Book Storeが好きなんだなーというのが、トークから伝わってくる。(3人の直筆のイラストがartos Book Store内の壁に描かれている。Cool！)
お店の中はお客さんで一杯。
それぞれ今の職業についた経緯や失敗談、ここでしか聞けない裏話(本当に笑ってしまう内容)など、とても内容の濃いものだった。
普段、ほとんど接することのないクリエイターさんの思いが知れて、本当にいい内容のトークイベントだった。いくつになっても、新しい世界を知ることは、楽しい。
最後は、３人の作品などを賞品としたクイズ大会がアドリブで行われ、大いに盛り上がり2時間近くにわたったイベントは終了した。
こういった企画イベントの他に、artos Book Storeでは、企画展示などを店舗内で月一は開催している。
自ら情報を発信しつづける、進化しつづける本屋さん。
作り手の気持ちが聞けて、お店の人や客同士で自然と会話が生まれるコミュニティースペースの様な本屋さん。
なんだか少しおこがましいが「すてき」という形容詞がぴったりくる。そんなartos Book Storeが松江にあることがとてもうれしい。
artos Book Store（アルトス ブックストア）
ＨＰ：http://www1.megaegg.ne.jp/~artos/
住所：〒690-0884 島根県松江市南田町7-21
TEL/FAX： 0852-21-9418
open 11:00 / close 19:30
※日曜・祝日11:00-19:00 不定休
駐車場：有り
